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出っ歯

一般に「出っ歯」という言葉は、「唇を閉じていても前歯の一部がのぞいてしまう」「笑うと、歯と歯茎が目立つ」「前歯が前方を向いて生えている」「前歯が大きく、その結果、歯列が前に押し出されている」など、前歯が目立つさまざまな状態の総称として用いられているようです。

しかし、歯科医療には「出っ歯」という正式な用語はなく、何らかの理由によって上の前歯が下の前歯よりも著しく前に出ている状態を「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といい、その結果、咬合機能(噛み合わせ)に問題が生じているものを「上顎前突症」といいます。これがいわゆる「出っ歯」と呼ばれるものです。

上顎前突症には、「食べ物が噛み切りにくい」「口が開いたままの状態になり、口中が乾燥して歯周病のリスクが高まる」「あごに負担がかかるため、顎関節症になりやすい」など、医学上の問題が考えられます。
また、症状が著しい場合には、食べ物がうまく噛めない、明瞭な発声がしにくく言葉がはっきりとしゃべれないなど、日常生活に支障をきたす場合もあるでしょう。

歯科医療上の上顎前突症は、骨格性のものと歯性のものに大別されます。
骨格性上顎前突症とは、骨格的に、下あごよりも上あごが相対的に大きく、上の前歯が前方に突出して見える状態です。
上あごの骨が大きく、前に張り出しているタイプの骨格性上顎前突症もありますが、下あごの骨が小さい、あるいは後ろに下がっている(下顎後退)ことによって相対的に上あごが前方に突出して見える場合のほうが、日本では一般的なようです。

これに対し、歯性上顎前突症とは、あごの骨の位置や大きさには問題はなく、上の前歯だけが前方に突出している状態のことをいいます。また、下の歯が内側に傾いているため、相対的に上の前歯が前に出て見えるケースもあります。

骨格性上顎前突症の場合、程度によっては、歯の矯正や審美治療だけでなく、下あごを前方に出す外科手術が必要になる場合もあります。
これに対し、歯性上顎前突症は歯の矯正・治療だけで、ほとんどのタイプのお悩みが解消できるものと思われます。

歯性上顎前突症の場合は、前歯を引っ込めるためのあごのスペースがあれば、ブラケット(矯正装置)による歯列矯正だけで治せる可能性があります。また、前歯だけに対する部分矯正で治せる場合もあるでしょう。

「出っ歯なので歯列矯正したい」「前歯の神経を抜いて差し歯にしたい」など、治療方法をひとつだけと思い込んでしまっている患者様もおられますが、ここでご説明したように、あごや歯の状況によって可能な施術、そして最適と思われる施術はさまざまです。

まずは歯科医の診察を受けて、自分の歯やあごの状態がどうなっているのか、原因は何かといったことを正しく理解し、歯科医と相談しながら、どのような矯正・治療が最適なのかを、自分で納得した上で総合的に判断していただければと思います。


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